外傷 初期診療の流れまとめ
・primary survey(ABC・バイタルの安定化)→secondary surveyという流れは変わらない。
Ⅰprimary survey
①第一印象の把握
救急車から初療室までの間の簡単な評価。(緊急度の確認)
A,B:呼吸状態確認、SpO2の確認
C:皮膚所見、脈拍、活動性外出血、血圧、FAST、胸部・骨盤X線施行
D:意識レベル,瞳孔不同・片麻痺の有無
E:体温の確認
②A:気道確保と頸椎保護の評価
③B:呼吸と致命的な胸部外傷の処置
(フレイルチェスト、開放性,緊張性気胸)
④C:循環評価と止血処置
(心タンポ、大量血胸、骨盤骨折等)
⑤D:中枢神経障害の評価
⑥E:脱衣と体温管理
Ⅱsecondary survey
...ABCの安定下で解剖学的評価を用いた損傷部位の検索
このとき、primary surveyで切迫するDと判断した場合は、最初に頭部CT撮影
切迫するDの定義
・GCS 8以下
・GCS合計2以上の低下
・瞳孔不同,片麻痺,Cushing現象(高血圧・徐脈)などの脳ヘルニア徴候を認める場合
↓
切迫するDなければ、病歴の聴取
AMPLEに沿って行う。
Allergy(アレルギー歴)
Medication(内服中の薬)
Past history&Pregnancy(既往歴、妊娠の有無)
Last meal(最終食事)
Event&Environment(受傷機転、現場の状況)
その後身体診察などを行う。
国試過去問
114A74
34歳の男性.心窩部痛を主訴に来院した.本日,オートバイ運転中に併走する乗用車と接触し転倒した.意識障害はなく,四肢の擦過傷と右膝関節の打撲以外に大きな外傷はなかった.転倒3時間後に心窩部痛を自覚し,徐々に増強するため妻に付き添われて受診した.意識は清明.体温37.2℃.脈拍104/分,整.血圧96/58mmHg.呼吸数16/分.SpO2 97%(room air).眼瞼結膜はやや貧血様だが眼球結膜に異常を認めない.心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部は軽度膨隆し,腸雑音の減弱を認める.心窩部から右季肋下にかけての圧痛を認める.神経診察で異常を認めない.血液所見:赤血球327万,Hb 10.6g/dL,Ht 34%,白血球11,200,血小板16万.血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL,アルブミン3.7g/dL,総ビリルビン0.9mg/dL,AST 142U/L,ALT 78U/L,LD 358U/L(基準120〜245),γ-GT 57U/L(基準8〜50),アミラーゼ154U/L(基準37〜160),尿素窒素18mg/dL,クレアチニン0.8mg/dL,血糖97mg/dL,Na 140mEq/L,K 4.3mEq/L,Cl 100mEq/L.CRP 1.0mg/dL.
現時点で行うべき検査として適切なのはどれか.3つ選べ.
a.胸部X線撮影
b.上部消化管造影検査
c.腹部超音波検査
d.腹部造影CT
e.下肢MRI
正解:acd
聞いたことある感じの検査を選べば解ける。
所見からショックを疑う。(脈拍/収縮期血圧(SI)>1より)
RBC327万、Hb 10.6g/dl、Plt16万と低めより出血?
心窩部痛、圧痛、腹部の軽度膨隆より腹腔内出血?
これと高エネルギー外傷疑いとの病歴を合わせると出血性ショックが考えられる。
a,c...外傷初期診療ではまずX線撮影、FASTを行う。ちなみにX線は骨盤も撮る。
d...腹腔内臓器損傷疑いより行う。
b...CTの方が情報量が多い。
e...下肢のMRIを今行う必要性はない